私が対話型アート鑑賞を提供する活動をするに当たってもっとも影響を受けた、米国イェール大学での実際の事例を、先日より紹介しています。
今回は、Braverman博士のご発言の中で、私が強く共感する印象的なものを紹介していきます。
私が共感するBraverman博士の語録集
➤「すぐに結論へと急ぐ」人間の傾向:The human tendency to jump to comclusions.
これは医学か否かは全く関係なく、ありとあらゆるものに対して言えることであり、それはインターネットが普及し、情報過多の時代、「タイパ(=time performance)」なんて言葉も持て囃される昨今、とにかく社会全体が急がされ、煽られ、焦らされている感が否めません。すぐに!もっと!速く!…これはBraverman博士(当時55歳、今年は94歳になられます)が、視覚トレーニングを開発した時代よりも、2023年の今の方がはるかに悪化(と私は個人的に捉えます)しているのは明らかでしょう。
博士が危惧していたことのスケールは、直接ご本人と確認しないと断定的には書けませんが、「すぐに結論へと急ぐ」傾向は引き続き根強い社会問題だと思いますし、だから私もそこに斬り込んで、そんな傾向を少しでも緩和させたい…と思っています。
➤ただ自動的に解釈するのではなく「本当に観察する」こと:No to just automatically interpret but to really observe
教科書通り、マニュアル通り、レシピ通り、定義通り、一般的、ステレオタイプ、通常パターン、大半の傾向、通説、定説…こういったものに頼りきる、安心しきる、疑わない、依存する、盲目になる、ワンパターン、応用が利かない、その答えしか知らない…みたいな、カクカクと四角くて、丸く柔軟な応用力がない、0か1かみたいな機械的反応しかできないのではなく、人間だからこその思考力や感性や臨機応変な柔軟性を使って、ちゃんと「自分の感覚を使って目の前の物事に接する」こと。
これは本当に大事ですよね。無難な正解を足並み揃えて皆で覚える…日本人の転ばぬ先の杖のあらかじめ備えたがる発想。自分で体験せずに、先人のマニュアル的な正解に従い、自分も正解にしてもらって、自分の評価に繋げようとする姿勢とか、由々しき問題だと思います。就職活動中の学生のリクルートスーツ姿の金太郎飴状態を見ていると、特に思います。
➤展示室は診察室に、そして絵画が患者になる:The exhibit hall is the examination room and the painting becomes the patient.
ここが医療×芸術のマリアージュの真髄です✨私はさまざまな比喩が大好きなんですが、この一文はいつ読んでも痺れます。シンプルな形容なんですけどね。そしてこの医療という文字部分には、他にもいろいろな物事を当てはめることができます。
〇〇×芸術。要するに、いま注目されている「アート思考」もこういう所からでしょうね。いかに柔軟にクリエイティヴに物事に対する思考や感じ方を展開させられるか。
➤身体診断は一見しただけではできない(身体診断は一見以上必要だ):Physical diagnosis requires more than a glance.
これはハッキリ言って、人は見た目だけじゃ判らないとか、第一印象だけでは判らないとか、その他にも無数にありますよね。企業の透明性だったり…本音と建前、ファサード、化粧、加工…ありとあらゆるものがスケルトン化されたらどんなによいだろうかと思う反面、世の中には表に見せたくない物事もたくさん。とは言え、医療に関しては基本的に問題を見つけて、それを解決することが目的なのは明確ですけどね。
他にも、なぜ18~19世紀のイギリス絵画を使うのが良いかとか、細かい発言がいろいろあるんですが、また別の機会で言及したいと思います。
とりあえずBraverman博士特集は、一旦ここで終わります★
自分の母親が外科手術に携わるハードワーキングなナースだったことと、過去に国際的な医療学会運営の仕事に携わらせていただいた経験、日本と英国の医療システムの違いの体験など…妊娠出産してからはかれこれ10年以上、病院のお世話になることはほとんどないですが、東洋医学をリスペクトすると同じぐらい、現代医療もリスペクトしているのです。(でも医療マフィアや科学の暴走には反対です。なので生命倫理学にも関心があります。)過去にはいろいろとやらかして、よく怪我をして流血もしていましたし…と段々話が飛躍していくので、ここまで★
多分、真面目に綴ろうとしていてもこの先、いろいろと過去の経験を隠せなくなってくると思うのでお楽しみに、笑。